
「ブイヨンとコンソメって、何が違うの?」「レシピにブイヨンって書いてあるけど、コンソメで代用していい?」
スーパーで並んで売られているので、なんとなく同じものだと思っている方も多いはず。
本記事では、現役フレンチシェフのぼくが、ブイヨンとコンソメの違い、代用するときのコツ、市販品の使い分けまでわかりやすく解説します。
後半ではレストランで作る本格的な作り方も紹介しています。そちらは読みもの程度に、料理のヒントにしてみてください。
管理者:かえる

料理歴20年以上の現役フレンチシェフ。浅草フレンチのリエーブルからフランス料理の世界に入り、リゾートホテル、横浜ナチュラルフレンチ、都内ミシュラン星付きレストラン、銀座ビストロなどで研鑽し、32歳で結婚式場の料理長に。料理、製菓、製パンなどなんでも作ります。各種SNS、ラジオ、YouTubeなどで料理について発信。
【結論】ブイヨンとコンソメの違い

かえる- ブイヨン…ポタージュや煮込みなど、料理のベースとして使う
- コンソメ…ブイヨンをさらに手間をかけて仕上げた、一品のスープ
つまり、ブイヨンがあってはじめてコンソメが作れる、という関係なんです。そして家庭料理なら、どちらも代用OK。注意するのは塩加減だけです。(詳しくは後ほど解説します)
ブイヨンとは?





言葉の意味
《ブイヨン:bouillon》=フランス語で「煮出したもの」「出し汁」 ※《ブイイール:bouillir》=煮る、沸かす
ブイヨンの定義
フランスでは昔から、ブイヨンは元気を回復させてくれるものと考えられてきました。質素な家庭料理から豪華なコース料理まで使われる、まさにフランス料理の基礎です。
エスコフィエの『ル・ギード・キュリネール』など、昔の有名な料理書では「フォン・ブラン(白いダシ)」や「白いコンソメ」とも呼ばれています。
主な材料


- 鶏ガラ、ひね鶏(親鶏)
- 牛すね肉、牛骨
- 香味野菜(玉ねぎ、にんじん、セロリ、ポワロー)
- ニンニク
- ブーケガルニ(タイム、ローリエ、パセリの茎など)
※材料はお店によって少しずつ違います。最近は、牛を使わずに鶏だけで軽く仕上げるお店も多いです。
これらを寸胴鍋にたっぷりの水と、ほんの少しの塩と一緒に入れて、6〜8時間ほどコトコト煮出したものがブイヨン。ポタージュのベース、付け合わせを煮る、煮込み料理など、あくまで「土台」として使われます。
おいしいブイヨンは「水と材料のバランス」で決まる
ブイヨンをおいしく取るコツは、意外と理科の話なんです。
昔、理科の実験で水に食塩を溶かしたことがありますよね。決まった量の水に溶ける量には限界がある、というあれです。ダシも同じで、水の量に対して出せる味の濃さはだいたい決まっています。
深掘りポイント
大事なのは2つだけ。
1.水の量に合った量の材料でダシを取る
2.時間をかけて、材料の味を全部出し切る
「じゃあ水を多くすればたくさん取れるのでは?」と思うかもしれません。でも水が多いと、味は出てもブイヨン自体が薄くなります。それを煮詰めて濃くしようとすると、ダシの命である香りがどんどん飛んでしまうんです。
ちなみに、ブイヨンでは野菜を丸ごとに近い大きさで入れます。これは香りを残すためと、日本の水(軟水)は野菜が煮崩れしやすいから。ブイヨンは、実はとても計算されたダシなんです。
コンソメとは?





言葉の意味
《コンソメ:consommé》=フランス語で「完成された」「申し分のない」
コンソメの定義
いまコンソメというと、一般的には「コンソメ・クラリフィエ(澄ませたコンソメ)」のことを指します。
ブイヨンに牛の赤身のひき肉や卵白、刻んだ野菜を加えて、さらに旨味を足しながら濁りを取って澄ませたもの。手間も材料もぐっと増える分、それだけで一皿が成り立つほど完成されたスープです。
使い方は、温かいポタージュとしてそのまま出したり、冷やしてゼリー寄せにしてオードブルにしたり。コンソメで魚介に火を入れて、そのままソースのように仕立てる「ナージュ」という料理もあります。
豆知識
フランス料理では、スープのことを「ポタージュ」と呼びます。とろみがあってもなくても、全部ポタージュ。日本のイメージとはちょっと違いますよね。
エスコフィエも、コンソメについて「具を何も入れなくても、それだけで澄みきった完璧な一皿であるべき」という趣旨のことを書いています。本当に澄んだコンソメを作るのはかなりの技術がいるので、プロの料理人でも誰でもできるわけではないんです。
コンソメには色々な種類がある
ベースのダシや、旨味を足す材料を変えることで、いろんなコンソメが作れます。
- コンソメ・ド・ブッフ…ブイヨンに牛のひき肉で旨味を足した、一番スタンダードなもの
- コンソメ・ド・ジビエ…ジビエ(鴨や鹿など)を使ったもの。鴨なら「コンソメ・ド・カナール」
- コンソメ・ド・サンジャック…魚のダシをベースに、ホタテを使って澄ませたもの
他にもたくさんあります。素材の名前がそのまま料理名になっているんですね。
ブイヨンとコンソメは代用できる?
【結論】代用できます!
家庭料理なら、ブイヨンとコンソメはお互いに代用してOKです。
ただし、ひとつだけ注意点があります。日本で売られている市販品は、「コンソメ」の方が塩や調味料で味がほぼ完成しているものが多く、「ブイヨン」の方があっさりめに作られていることが多いんです。
代用するときのコツ
ブイヨン → コンソメで代用するとき
コンソメは塩味を感じやすいので、塩は控えめに。最後に味見をしてから足しましょう。
コンソメ → ブイヨンで代用するとき
味が物足りなく感じたら、塩を少し足します。玉ねぎやセロリなどの香味野菜を一緒に煮ると、ぐっとコンソメっぽい風味になりますよ。
注意ポイント
商品によって塩分はかなり違います。レシピの分量どおりに入れる前に、パッケージの表示や使用量の目安を一度チェックしてください。あとから塩味は取り除けません!
ブイヨンとコンソメの使い方(固形・顆粒・液体)
市販のブイヨンやコンソメには、大きく分けて3つのタイプがあります。それぞれ得意な使い方があるので、料理に合わせて選んでみてください。
固形(キューブ)
1個で決まった量のスープが作れるので、計量いらずで味がブレにくいのがいいところ。スープや煮込みなど、水分の多い料理に向いています。溶けにくいので、包丁で刻むか、少量のお湯で溶かしてから入れるのがおすすめ。
顆粒
量を細かく調整できて、すぐ溶けるのが顆粒のいいところ。炒めものやピラフ、下味つけなど、水分が少ない料理でも使いやすいです。家庭で一番使い勝手がいいのはこれですね。
液体(濃縮タイプ・ストレートタイプ)
溶かす手間がなく、香りが自然で仕上がりが上品になりやすいタイプ。スープの味をきちんと決めたいときにおすすめです。開封後は冷蔵保存のものが多いので、表示を確認しましょう。



ブイヨン、コンソメを使ったレシピ
顆粒コンソメで作る「キュルティヴァトゥール(農夫風スープ)」


顆粒コンソメは野菜の香りがちょっと弱いので、野菜をたっぷり入れるスープと相性バツグン。おすすめは、フランス料理の「キュルティヴァトゥール(農夫風)」というポタージュです。
作り方
玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、キャベツ、トマトなど季節の野菜とベーコンを、1cm角くらいの薄切りにして水から煮ます。火が通ったら顆粒コンソメを入れて、塩、こしょうで味をととのえるだけ。



このブログのブイヨン・コンソメを使ったレシピ






より深く知りたい方へ。「ブイヨン」「コンソメ」の作り方
ここからは、レストランで作っている本格的なブイヨンとコンソメの作り方です。正直、量も時間も家庭向けではありません。
ただ、作り方を知っておくと「なぜ塩を入れすぎちゃダメなのか」「なぜ香味野菜を足すとおいしくなるのか」がわかって、市販品の使い方が上手になるはずです。
ブイヨン編
【プロ仕様】「ブイヨン」の作り方
最近は料理を軽く仕上げる傾向なので、今回は牛は使わず鶏だけで取ります。中華料理の「清湯(チンタン)」の技法も取り入れたやり方です。
材料(できあがり約10L)
・鶏ガラ 8kg
・ひね鶏(親鶏) 1羽
・玉ねぎ 5個
・にんじん 4〜5本
・セロリ 3本
・ポワロー 1本
・ニンニク 1個
・タイム(フレッシュ)1パック
・ローリエ 2枚
・白こしょう(ホール)少し
・コリアンダー(ホール)少し
・岩塩 ひとつまみ
・水 約15L(氷と合わせて)
作り方
1.野菜はよく洗い、十字に切り込みを入れる。玉ねぎは皮をむき、にんじんは皮付きのままでOK。ニンニクは横半分に切る。
2.鶏ガラとひね鶏は内臓を取ってよく洗い、首の部分をひねって折っておく。
3.寸胴鍋(25L)に鶏ガラとひね鶏を入れ、ギリギリひたるくらいの水を入れて強火にかける。
4.アクと脂をある程度取り、沸騰したらいったん火を止めて氷を大量に入れる。表面に固まった脂を一気にすくい取る。


深掘りポイント
これが中華の「清湯」の技法。氷で脂を冷やし固めて、まとめて取り除きます。
脂が多く残っていると水分と乳化してしまい、味やアクが出にくくなって香りも味も悪くなるので、ここはしっかり取りましょう。
5.残りの材料を全部入れて強火で沸かす。沸いたらコトコトするくらいの弱火にして、アクや脂を取りながら6〜8時間煮る。
注意ポイント
岩塩の入れすぎに注意!
ごく少量なら浸透圧で味が出やすくなりますが、ブイヨンはあくまでベース。入れすぎるとしょっぱくなって、使うときに味つけしにくくなります。
6.目の細かいザルでこして、すぐに冷やしたら完成。



コンソメ編
コンソメの原理を理解しよう!
コンソメ作りのポイントは、卵白が固まる温度です。
ひき肉や卵白、刻んだ野菜を混ぜてブイヨンと一緒に温めていくと、卵白が60℃前後から固まりはじめ、80℃くらいでしっかり固まります。このとき卵白がスープの中の細かい濁りを抱き込みながら固まって、表面に浮いてくるんです。
ちょうどいいタイミングで混ぜるのをやめると、濁りがきれいに取れて、透き通ったコンソメに仕上がります。



【プロ仕様】「コンソメ」の作り方
材料
・ブイヨン(半量に煮詰めたもの)5L
・牛の赤身ひき肉(すね肉など)1.5kg
・玉ねぎ 1個(みじん切り)+1個(半分に切る)
・にんじん 1本(みじん切り)
・セロリ 1本(みじん切り)
・トマトペースト 200g
・卵白 300g
・タイム 1/2パック
・ローリエ 1枚
・白こしょう 少し
・パセリの茎 適量
・ポワローの緑の部分 適量
※ハーブと香辛料はポワローの緑の部分で包み、タコ糸で巻いておく(ブーケガルニ)。
作り方
1.鍋(15L)にひき肉を入れ、よく粘りが出るまで練る。
2.みじん切りの野菜、トマトペースト、卵白を加えてさらによく混ぜ、冷蔵庫で2〜3時間しっかり冷やす。


深掘りポイント
しっかり冷やしておくのが、澄んだコンソメを作るための大事なポイント。冷たい状態からゆっくり温度を上げることで、卵白が少しずつ濁りを抱き込んでくれます。
3.冷たいブイヨンを加え、混ぜながら火にかける。混ぜやすくなってきたら中火〜強火にして混ぜ続ける。
深掘りポイント
70℃くらいまでが混ぜる目安。木べらで混ぜていて、鍋底に当たったときに「キュッ、キュッ」と音がしてきたら混ぜるのをストップ。これでだいたいちょうどいいタイミングです。
4.ひき肉が固まってきたら、真ん中をすくって周りに寄せ、ドーナツ状の穴をあける。沸いたらすぐにごく弱火にする。


注意ポイント
火が弱すぎると中のスープが対流せず、かえって濁ってしまいます。穴の部分が静かにポコポコ動いているくらいが目安です。
5.半分に切った玉ねぎの断面をフライパンで真っ黒に焦がす。焦がし玉ねぎとブーケガルニを加え、2時間ほど火にかける。


6.浮いた油をしっかりすくい、残った油はキッチンペーパーで吸い取る。目の細かい布やアミでこしたら完成。
焦がし玉ねぎは、コンソメのきれいな琥珀色と香ばしさを出すためのもの。本当に良いコンソメは、冷やして固まっても器の底が見えるくらい透き通っているんです。



ブイヨンもコンソメも、最後は素材で決まる
ブイヨンもコンソメも、味を一番左右するのは素材です。どんなに技術があっても、本物の食材を使わないと本物の味は出せません。
スーパーの野菜でももちろん作れますが、香味野菜の香りや甘みにこだわりたいなら、有機野菜の宅配を試してみるのもおすすめです。ぼくも、野菜の味の違いにびっくりしたことが何度もあります。
今すぐお得に美味しい有機野菜や無添加食品を味見♪(らでぃっしゅぼーや)
まとめ
1.ブイヨンは料理の土台になるダシ、コンソメはブイヨンから作る完成されたスープ
2.家庭料理なら、どちらも代用OK
3.代用するときは塩加減に注意。味見をしながら調整する
4.固形・顆粒・液体は、料理に合わせて使い分ける
5.香味野菜を一緒に煮ると、市販品でもぐっとおいしくなる
違いがわかると、レシピに「ブイヨン」と書いてあっても「コンソメ」と書いてあっても、もう迷いません。
ブイヨンはフランス料理の基本中の基本。正しく知って、おうちごはんをもう1ランクおいしくしてみませんか(`・ω・´)?
あわせて読みたい







コメント